2007.12.30
前回の朧。から脳内トリップの産物というカテゴリーを設けたんだけど、
ブログと混同したくなかったので、新しいブログを作りました。
http://yaplog.jp/kamancyu/
主に小説になりますがWizardの歌詞の
伝わりにくい部分を書いていけたらと思います。
この曲が出来た時には、
あたしの脳内でこんなストーリーが出来てたんだねー。って感じで
読んでもらえると嬉しいね。
寝てたんだけど寝れなくて書き始めたら止まらなくなっちゃったわ(´-ω-`)
2007.12.27
『…途切れたの。』
『何でだろう?』
『ちゃんと掴んでたはずなのに…』
少しだけ試すようように、君に問う。
『命は儚いからな、生きてればいずれ死ぬさ。
なのに何故今更、後悔するんだい?』
君は泣きながら答えた。
『少しでも長く手を繋いでいたかったから…』
青白く月明かりが照らす小道で、
“あの頃の残像”達が嬉しそうにはしゃいでいる。
君は手を伸ばして何度も触れようとする。
だから僕は教えてあげた。
『馬鹿だなぁ。そういうのを今更っていうのさ』
少々心は痛いものの、教える”それ”もまた優しさかなと思うのである。
元来”朧”というのは嫌味な奴が多い。
僕もまたそんな嫌味ったらしいのの1人なんだが。
人の悲しみに引き寄せられる僕らは、
なんて事はない、悲しみを増長させるのが仕事さ。
死神みたいなもんだと思えば良い。
元は人間さ。まぁそんな事は今はどーでもいい。
“あの頃の残像”を見せる事で人は過去とシンクロし、想い出に浸る。
悲しみを喰らって生きる。それが”朧”だ。
想い出が大きければ大きいほど仕事をしたな~となるわけで、
まぁ”朧”というのはそういうもんだ。
そして一般的に言わせれば性格が悪い。
続けざまに繰り返す。
『人間ってのは馬鹿だからさ、1回じゃ理解んねーんだわ。
何回も修羅場潜ってさ、やっとわかるんだよ。君の”それ”は
何回目だい?』
君は鼻水を垂らしながら赤い目で言う。
『もうわかんないくらい』
『んー。』
正直ちょっと困惑してしまう。
これだから人間は嫌だ。
どうやら人間は”わかんない”くらい繰り返しても、まだ同じ過ちを繰り返すようだ。
滑稽だ。
激しく滑稽だ。
『君は後悔って知ってるかい?』
自慢の眉をへの字にして問いかけた。
『知ってる…』
『おぉ~。君は後悔を知っていたか。
これは失敬。なら君が今抱いているのは何だい?』
さらに自慢のちょび髭を撫で撫でしながら、嫌味とばかりに追い討ちをかける。
『後悔だよ』
狙った通りの回答に、少々呆れてしまう。
『これだから人間は』
この言葉が毎年毎年変わりもせず朧流行語大賞に選ばれるのも納得である。
ちょっと溜息をついて君の肩をポンポンと叩く。
『泣いてもいいよ。泣いただけ強くなれるからさ。』
自分で言うのも何だが、かなりクサイ台詞だ。
本当なら、どぎつい事を言って、ガンガン堕とすとこまで堕とすのが仕事なのだが、
このハナタレハゲ坊主。
ちょっと見捨てておけない。
あー。僕もヤキが回ってきたなー。なんて遠い目で空を見上げる。
風が冷たい。
『ほんとはさ、知ってたんだ。うすうすこうなるの、知ってたんだ』
…意外だ。
『知ってて何で泣いている?』
『どうしていいかわからなかったんだ』
…あぁそうか。
時として、解っていても対応できない場合がある。
この子はそんな場面だったと見える。
個人的には、こういうケースが一番面倒くさい。
まったく、しょうもないとこに呼び出されたものだ。
『君はこれから独りなのかい?』
『うん』
どうでもいいと思いつつも聞いてしまう。
『これからどうするんだい?』
『わかんない』
わかんない?
なんだろう?
この胸の突っ掛かりは。
さっきもあった。
『どうしていいかわからなかったんだ』
この言葉を聞いて、どうしても何か突っ掛かってた。
ただ放っておけないだけかと思っていたが、
どうやらそうではないようだ。
さっきまで泣いていた君の顔はなく、
どこか笑みを浮かべている。
『やっと思い出した?』
あぁ…思い出した。
『あの頃の残像』
見せられてたのは僕の方だったか。
(To be continued…)